ここでは半導体の動作の仕組みを簡単にご説明します。
●金属・半導体・絶縁体の違いについて
さて、まずはそもそも金属・半導体・絶縁体が具体的に何が違うのか?ということを簡単に説明します。
”半導体”という言葉は”半”ということばが指す通り、導体と絶縁体の間の特性を持っていることから半導体と名図けられています。抵抗率という電気の通しやすさで示すと下記の図のようになっており、導体よりは電気を通さないが、絶縁体よりは電気を通しやすいです。では、なぜこのような違いが生まれているのかをもう少し詳しく見ていきます。
前提として、電気が流れるとはどういうことかわかるでしょうか?電気が流れるというのは、”電子が動く”ということです。つまり、電子が動けなければ電気は流れません。これを踏まえて電気特性の話へ移りましょう。
物質の電気的特性を説明する際には、”エネルギー帯”というものを用いて考えるとわかりやすいです。
下図に金属・半導体・絶縁体それぞれのエネルギー帯概念図を示します。図の説明を簡単にします。”価電子帯”と書かれた領域は電子が詰まっていて電子が動けない領域です(用意された座席がすべて埋まってるイメージ)。この領域では電子が動けないので電気が流れません。次に”伝導帯”と書かれた領域は電子が詰まっておらず、ここに来た電子は自由に動けます。そして、”禁制帯”と書かれた領域は電子が存在できない領域です(電子が座る椅子がそもそもないイメージ)。電子は通常は安定を求めて価電子帯に存在していますが、エネルギーを与えると伝導帯へ移り伝導帯内を動くことで電気が発生します。これを踏まえて、金属・半導体・絶縁体の挙動を下記で説明します。
①金属
価電子帯と伝導帯が接しており、少しのエネルギーを与えるだけで電子は価電子帯→伝導帯へ移動することができます。なので、金属は非常によく電気を通す材料なのです。
②半導体
半導体では、伝導帯-価電子帯に禁制帯があります。金属とは違い、電子にある程度のエネルギー与えなければ電子は価電子帯→伝導帯へ移動することができません。そして、この時の価電子帯→伝導帯へ移動するのに必要なエネルギーをEg=バンドギャップと呼びます。Egを超えるÑエネルギーを与えることで電子が伝導帯へ移動し電気が流れます(Egは物質により異なります)。日常生活に例えると、Egを距離としたときに、そこまで車でたどり着くにはガソリン(エネルギー)が必要ですよね?ガソリンが足りないとなれば途中で引き返し目的地(伝導帯)へはたどり着けないのです。
③絶縁体
絶縁体は、簡単に言うと半導体よりも非常にバンドギャップが大きい材料です。電気を流すには莫大なエネルギーが必要であり、多少のエネルギーを与えても電気は流れません。結果、電気を非常に通しにくい材料となっているのです。
●各材料のバンドギャップ
代表的な材料のバンドギャップを載せておきます。
今回はここまでです。
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